●竹とは、
竹は、草でしょうか? それとも木でしょうか? 私にはよく分かりませんが「イネ目イネ科タケ亜科」というのですから、もとは稲との関係もありそうで、とても不思議に思います。
成長が早く、空洞で、硬くてしなやかで…、不思議な存在の竹。
その竹は、人との関係がとても深いのです。
春の恵み筍〈タケノコ〉は食し、竿(さお)は建材となり、つり竿、弓、籠、ロープとしても有用でした。また竹炭として燃料材や除湿・浄化機能を有しています。
個人的には、流しそうめんの長~い流路が愉しくて好きですが、深山の温泉宿には、高温の温泉の湯冷ましとしての流路は趣きがあります。また「竹箸」から「獅子(鹿)脅し」まで、かつて竹は日常生活にありました。
文化芸術面での竹の役割は重要で、尺八、篠笛、能管、龍笛、笙、篳篥などの竹製の管楽器が日本の伝統芸術を支え続けています。また水墨画・山水画では欠かせない題材です。さらに日本最古の寓話「竹取物語」〈かぐや姫〉は、月世界を背景にした壮大なロマンに溢れています。
生活から芸術まで竹と人々との深い関わりは、日本だけではありません。アジア全体を通して共通です。これは偶然ではありません。アジア全域に民族・国境を越えた広汎な竹文化圏があるのです。鉄器文化圏より古く、稲文化圏より広く、竹は人と供にあったのです。
●竹林閣とは、
竹は、人を癒します。慰めます。その真っ直ぐに伸びた様は、人の心を導き、青々とした鮮やかな色は、人を冷静にさせ、風雨に揺れる姿は、「人は強く柔らかく生きなさい」と諭すようです。
竹の一本一本は、すくすくと伸び競い合っているようですが、巨大な竹林は、ひとつの根としてつながっています。人の世の縁(えにし)ようです。
竹林閣という舞台に集う人たちは、お一人お一人が個性的であり、縁がつながっているように思えます。それが面白いのです。それが魅力的なのです。